器の大きい方のストレス収納力は高すぎる?

「ええーっ、マジですか?!」と、こちらが思わず素になって口から漏れてしまうくらい、大きい事故に遭われたにもかかわらず、その件について割と平気なクライアントさんは結構いらっしゃいます。


身体に痛みや疲れを感じて「どうにかしたい」といらっしゃるけれど、ピリピリしておらず、落ち着いている。そういうとき、まず「器、でかいな〜!」と思います。その人の器(許容量、適応力)が大きいと、様々なストレスをある程度抱えても、どうにかできてしまうんですね。


ただ、人として、理性や工夫や根性でどうにかできてしまうことでも、生き物としての身体は、やはりそれなりに脅威を味わっていて、それに気づかなかったり、無視をし続けると、「脅威が終わった」ことを身体は知らないままだったりします。


脅威に直面した時、自律神経系の交感神経は「逃げるか/戦うか」の行動をとるためのエネルギーを動員し、全速力で走って逃げたり、全力で押し返して抵抗したりなどの動作に備えますが、「あっ!」と言う間でどうすることもできなかった、逃げることも戦うこともできなかった場合、動員されたエネルギーは使われずに神経系に閉じ込められたまま、それ以降、常時脅威に備えた臨戦態勢をとり続ける、ということが起こります。


「閉じ込められた」と言うのは「動けない、行き場がない状態」ですが、「OFF」になっているわけではなく、アクセルとブレーキを同時に踏み続けて、結果的に「動いていないように見える」状態なので、常時「ON」なわけです。するとどうなるかと言うと、無駄にエネルギーを消費し続ける( >> 故に、なぜか疲れがとれない)、無意識の緊張が続く( >> 故に筋肉の収縮が続き、体液の循環も滞り、 コリや痛みにつながる)。


じゃあ、どうすればいいのか?というと、「現在、もう脅威は去っている」ということを、頭だけではなく身体にも納得してもらい、閉じ込められて行き場がなくなってるエネルギーを少しづつ安全に使い切る、ということをしていきます。


エネルギーを使い切るときには身体の生理的反応として、震え、涙、熱、あくびなどが自然と生じます。事故の現場で、そのときに本当はやりたかった動作が現れることもあります(走り出そうとする、拳を握る、思い切り押し返そうとする、「痛い!」とか「いやだ!」と口から出てくる、などなど)。


それらの、身体から自然に生じるプロセスを経過させ、完了させることで、臨戦態勢は終わり、無意識の緊張やエネルギーの不必要な消費をすることがなくなって(もしくは軽減されて)いきます。つまり、疲れや痛みも解消されていく、ということでもあります。


さらに、実は「疲れや痛みが解消される」ということ以上に、閉じ込められていたエネルギーに占拠されていたスペースが空くことによって、神経系の伝達もスムーズになり( 故に、動作が滑らかになる)、意識的に使えるエネルギーの容量も増えます( つまり、「自分がやりたいこと」に、これまで以上に、楽に、注力できるようになる)。長年抱えていた不動在庫が適切に処理されるようなもので、スッキリ広々します!


元々大きい器をお持ちの皆さまには、せっかくのそれをストレスでいっぱいにせず、広々と使っていただきたいなあと思っています。ご本人のため、というのはもちろんのこと、周囲の方々にとっても、そんな方が近くにいるのは幸福ですから。


最近ロルフィングを受けにいらっしゃる方々に、上記のような例がしばしば見られます。ロルフィングにソマティック・エクスペリエンシング(SE)を併用されると「不動在庫処理」が進みやすいですよ♪

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