いちばん身近な自然環境は

自分の身体です。つまり自分自身です。"自分「の」身体" というように、所有物のように扱うことは多いのですが...例えば、

「右手を上げよう」と思って、上げることができる、自分の意志でコントロールできることもあります。眠くても、無理やり起きていることもできる。トイレも我慢することができる。ちょっとの間、息を止めておくこともできる。

...ですが、自分の意志で心臓の鼓動は止められないし、血液の循環を早めたり遅くしたりはできません。消化活動を早めたり遅くしたり、消化吸収の際に特定の栄養素だけを取捨選択することもできません。眠気を無視することはできても、眠気を起きなくさせることはできません。「私」の意志で、直接制御することはできません。

自律神経系の働きは、文字通り「自律」しているのですね。天候とか地震とか季節の移り変わりとか、種を蒔いたら芽が出て育つ過程のようなものと考えるとわかりやすいと思います。

「じゃあ、なにもできずに振り回されるだけ?」かというと、そんなこともなく。自律神経系が働きやすい環境を整えることはできるわけです。種を蒔いたら、芽が出て育つには、水や適切な温度や日光も必要なのと同様に、まずは、食べ物、睡眠、運動など生活習慣を見直すことができる。雨が降ったら傘をさすとか、台風の日は出歩かないとか、強い日差しにサングラスとか。そんなこともできる(もちろん、やらないことも選べる)。

「渋谷のスクランブル交差点にいると、人がいっぱいで、自然が溢れすぎていて気持ち悪い」といった人がいました。「確かに〜!」とものすごく納得でした。満員電車の中も。

そして、以前、亜熱帯の森の奥に人間二人だけで行ってみたことがあるのですが、他に人の気配はなく、携帯の電波ももちろん届かず、そこにはものすごい静寂があった...かというと、無い(笑)。むしろ、うるさいぐらいでした。鳥や虫、木々の風に擦れる音、流れる水の音で、ものすごく騒がしい。怖いくらいでした。

体内でも、そのような営みが常に行われているんですよね〜意識的になると気が遠くなりそうですが。思考や分析を行い、行動や感情を制御するのも「自分」ですが、身体もまた別の知性を持っていて、それもまた「自分自身」なんですよね。けっこうすごいものです、「私」って。

コメント

人気の投稿