サリンジャー

ライ麦畑はちょっとダメなんですが、「ナイン ストーリーズ」と、グラース サーガが好きです。

この人の小説を読んでいると、自然と登場人物や背景が映像で展開する。実写のときもあれば、漫画のキャラクターのときもあり、「バナナフィッシュにうってつけの日」は、私の頭の中では、完全に大島弓子の漫画になっています。「エズメに捧ぐ」のラストがとても好きなのですが、エズメは10代のころのナスターシャ キンスキーが演じてます。

サリンジャーの小説の中で、未だ折に触れて思い出す場面がある。確かシーモア グラースが言ってたことで、

歩いてた人がハンカチを落とす。その後ろを歩いてた人が拾って、落とした人に手渡す。

その一連のやりとりのなかで、拾った人は「良いことをしよう」とか「拾ってあげよう」とか「落とした人への思いやり」などは皆無で、ただ「拾って渡す」だけ。落とした人は「拾ってくれた人への感謝」は不要で、ただ「受け取る」だけ。本当はそういうのがいいんだと言う話。

最初訳が分からず、ずーっと考えてて、あるとき「あぁ、確かにそれがいいかも」と納得したのだが、実践することの難しさといったら!

一生、思い出し続けるんだと思います。
合掌。

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